愛しき者よ



お盆話です
軽ーくプリ母が出てきます ホラーや…

ちなみに今回は一応シリアスのハズです
いつも二頭身に見えるジョットがちゃんと六頭身位有るように見えるはず…








八月十三日



「母さん…」





ジョットは今日も元気だ
嵐の目を盗んで富士山の自作プラモを組み立てている

あ…    

嵐に見つかった…




「ジョット…いくら夏だからと言っても…これは怠け過ぎでしょう!」





プラモを取り上げられたジョットは
スライムかの如く机の上でとろとろに溶けている
いや正確には机の上に大きく寝そべっている…



「別にいいじゃないか…夏なんだし…皆…いないし…」



そう…只今ボンゴレファミリーは夏休みなのだ
普段からサボっていたジョットは
夏休み返上でたまりにたまった仕事をしている
もちろん嵐も夏休み返上でジョットに付き合っている



「良くありません!ジョット…見てください!」

嵐が大きく腕を振り上げる

「この大量な書類の山を…」



嵐が指をさした先には大きく積み上がっている大量な書類の山だった



「おお…凄いなぁ…」

「凄いなぁ…って人事みたいに……」



ジョットは大きく積み上がった書類にくぎづけだ…



「あなたが…サボってきた書類ですよ!!ジョット…今日と言う今日は逃がしませんよ」



嵐の目が不気味にひかる



「今日中にこの三分の一は終わらせる事!」



ジョットは一瞬にして嵐に視線を戻す





「それまでは…………このジャポーネグッズはおわずけです」





ジョットが大事にしていたジャポーネグッズを
いつの間にか腕一杯に抱えている嵐…
そしてヅカヅカと部屋を去って行く



ジョットは唖然としている
そしてジョットの目には涙がうっすらとみえる


それもそのはず
ジョットは日本文化の大の大ファンだったのだ


お気に入りのジャポーネグッズなんか
いつも肌にはなさず持っている……
そんなジョットからおわずけは随分と刻な話である



「もし終わらせられなかったら……これは返しません!!」



とどめの一発!!

表情に変化はないが
明らかに大ダメージをうけている
放心状態だ…


だがこんな事している場合ではない
ジョットは直ぐに意識を取り戻し…怖いぐらいに必至に仕事をし始めた…






















「ふう…」



今日のノルマを達成したジョットは
嵐から返却されたグッズのチェックし終え
優雅な一時を過ごしていた…

空はもうとっくに暗くなっていて辺りは静まりかえっている
自室にあるベランダに出満天の空を見上げた



「空が青いな…」



一人の女性の姿が頭にちらついた…

「…………」

先程からちらつく女性の影…
私が始めて愛した女性…



「…………ジョット?」



たまたまジョットの自室の前を通り掛かった嵐
隙間のドアからジョットの姿が見えた


そこから見えたジョットは
いつも…
会っているジョットとはどこか違っていて…
彼の背中がとても大きく見えた











ジョット…おいで…ジョット…

今日のご飯…何がいい?

一緒にねよ?

大好きだよジョット…

ジョット…

ジョット…

ジョッ… …









だんだんと薄れていく
貴女の声…

貴女の顔…

貴女との時間…




形として残されたものは何一つない
忘れたくない     忘れるものか…





私が始めて愛した人…
私の生きる希望だった人
今の私を作った人…



大好きでした愛してました



誰よりも



「母さん…………」



満天なる空が騒ぎ始める
ジョットは空の騒ぎに耳をすます

その姿はドアから見ていた嵐にはとても美しく見えた







「8月13日…確か日本では亡くなった者が帰ってくる日………」





母さん………





貴女がこの世を去ってから五年の月日が経とうとしております
貴女の為に造ったボンゴレは今では仲間の為にあります
見ていて下さっていますか?



私には大切な家族が出来ました




忘れたくない貴女との大切な想い出…
でもそれ以上に今の時間を大切に思う時があるんです…




母さん… 愛してました…













「嵐…いつまでそこに居るつもりだ?」

嵐は驚いたあまりバランスを崩してしまい
勢いよくジョットの自室に入ってきた…


フッ

ジョットは軽く笑う…



「一緒に空を見ないか?」

ジョットの表情はいつも通りに戻っていた











あの時…






ジョットが笑ったのを知っているのは





いないはずの貴女だけ…















-NEXT-










あとがき

初めて恋愛感情を抱いた相手は血の繋がった実の母
生まれた環境が環境だったせいか
人の温もりを知らないジョットは
唯一 自分に優しかった母に恋愛感情を抱きます


だが そんな母は早くにして過労で亡くなってしまう
母という存在がいなくなってから
ジョットは少しずつ人の温もりというものを知っていく
今では母よりも大切ものができ
人生を凄く楽しんでいる


そして 死んでもなお ジョット君を見守り続けるプリ母
息子が心配なんだね!!
でも  息子の恋愛感情には気づけなかったプリ母様…