回文







十月十二日



深い森の中のせいか朝になっても日がのぼらない…
時間感覚が麻痺しそうな中
いつも通りのメロディーが聞こえてくる



1  2  3  4     1  2  3  4 
チャンチャララ〜ラ〜



「ん…」



ソファーに横たわって寝ていた霧はそのメロディーで目を覚ます
そしてそのまま目線だけジョット専用の和式ルームの方にむけた

そこにはラジオ体操をするジョットの姿がみえた…



「未だにその体操…やっているんですね」



体を起こし冷めた紅茶を入れ直す…



コポコポ



「その体操…今では何も意味をなさないのに
何故毎日やっているのです?」



いれたばかりの紅茶を火傷しないよう注意しながら飲む…



「人はな、意味がないとわかってても
やりたいと思う事もあるのだよ…霧」

「理解ができないな…」



そのまま15分間気の抜けた平和なメロディーが流れ続けた



チャンララン ら ランラン チャンララン ら ランラン  チャララらラ〜ラ…





「腹減ったぁ!」



勢いよく座敷にダイブする



ブッ



「〜〜〜痛い………」



どうやら鼻をぶつけたようだ鼻が赤い…



「クハハハハハ!!緊張感のない人ですね!!」



霧が笑いだす今にも紅茶が零れ落ちそうだ



「そうか?」



ボンゴレの将来がかかった大きな戦いが待ち構えているというのに
この…いつもと変わらぬ行動



「貴方は随分な大物ですよ…クハハ!」



クハクハと笑いまくる霧



「大物なんて…褒めるな…」



表情は変わらぬまま頬を赤らめる



「褒めてません!!」



先程とは裏腹に怒りだす霧
コロコロと表情をかえる霧に比べジョットは常に同じ表情をしていた



「で…いつ出発ですか?」

「ムフォ?」



何処から出したのかジョットは
べーグルをむしゃむしゃと食っていた

唖然とする霧



「また…貴方は」



霧は大きなため息をつきながら手を頭につけ
とても困ったような顔をする



「ムフォひフッハァフふる(9時に出発する)」



9時…
その時間はいつも通りならジョットが仕事をし始める時間



「……トコトン貴方のペースですね」



ここまでマイペースを貫き通されると逆に清々しい
そして暫く間があいてから
勢いよくカップをテーブルの上におく



「わかりました!9時には全て準備を整えます!!」



そう言った後直ぐに行動を開始し始める
霧のヘタはいつも以上にイキイキしていた



只今の時間7時15分
ジョットは三つ目のべーグルに差し掛かっていた











‐カナダ‐









「ん?白い梟…霧からか!?」



ボンゴレの救世主…
じゃなくて犬…
でもなくてジョットの優秀な右腕
嵐は飛んできた白い梟にそっと腕を出し梟のとまり場を作る



バサバサ



「俺がジョットから直々に与えられた任務は
ある地方にいる同盟ファミリー全てに
ジョット直筆の回状を贈り届ける事
もちろん内容は知らない知る必要もない
必要とされているのはいかに任務を速く正確に遂行させるかって事だけだ   BY 嵐」



そんな事を頭の中で妄想しているのならまだしも
声に出しているのだからなんとも   ウザイ   

ジョットと嵐の魅惑の世界に飛びだってしまった嵐は
元の世界に戻るまで随分と時間を浪費していた



「ハッそう言えば霧からの…」



嵐の頭に移動していた梟を降ろし

足に付いていた手紙らしき物を手に取る…





:********************:



今日もおバカに過ご
しでおいでですか? ゆったりとした時間を
嬉しい位取れて
僕は羨まし過ぎて思わず
んっと言う字で死ねを
五回書いてしまいました



:*******************:



ぐしゃっ!!



不気味にも日本語で書かれた霧からの毒舌手紙は
嵐の手で握り潰されていた
しかしわざわざ霧からの手紙…
何かがあったに違いない!!





気がする…



「で…     何で ん で死ねを模るんだよ!
逆にムカツクな!!ハッ!まさか!
んは一番最後の文字!俺には後はない!死あるのみって意味か!?
色々な才に恵まれた俺への妬みか」



霧が気まぐれに書いた一文に無駄に深読みをする嵐
取りあえずクシャクシャになった手紙を広げ内容の続きを読み始める



:*******************:



連日大忙しな僕は最近
猛烈に平仮名を
どうなるの?って位
練習しているんですよ!

はぁぁ
やだなぁ明日も仕事です
クフフ…ではチャオ!



:*******************:



「なんだ…この手紙は……ただの毒舌手紙じゃねえか…」



一通り読み終えた嵐は首を傾げる
ついでに梟は嵐の頭に再度のぼり
共に首を傾げた



「ん〜……………ん?なんだ?一カ所…おかしな所が!!」











「そろそろ…気付いて頂けている頃でしょうか?」



クフフとカッコよく決めている所をジョットは



「食え」



ぐいぐいべーグルを霧の口に詰め込もうとしていた



ぐいぐい



「クフフ……」



ぐいぐい



「クフ…」



ぐいぐい



「……」



ぐいぐい



「あああもう!いい加減にして下さい!!」



霧がキレた…
こうみえてジョットよりも年下の霧は
ただの子供のように怒り狂っていた…








-NEXT-





あとがき






手紙文かなり変な文ですね
あまり良い内容を私に求めないで下さい




2009.3.6