出陣







十月十二日   9時



深い森の中が霧で覆われる
二人の影が見えた



「クフフ…さあ行きましょう」

「おい…霧、何処…だっ!」



あまりの霧の濃さに
ジョットは木におもいっきり頭をぶつけていた
仕方がないのでこの視界に慣れている
霧の場所を手を頼りに探し始める


布らしきものが手にあたった
ジョットにはそれが何なのかがわかったようだ



「霧…お前がマントを着るなんて珍しいな…」



ジョットははぐれないように
霧のマントの裾を掴みながらそう言い出した



「クフフ…」



霧もやが立ち込める中余裕そうな顔をしながら霧はこう言った



「ボンゴレを左右する大事な日ですよ…
正装しなくては失礼ですよ」



ボンゴレの各守護者にはそれぞれリングと
リングに刻まれた刻印と同じマークの入ったマントを渡されている



マントは本当に大事な時にしか着る事を許されない
ボンゴレの幹部の正装

それを霧は着ているという事は
ボンゴレの人間として戦う事を認める事になる



「マフィア嫌いのお前がまさか再度それを羽織る日が来るとはな」



守護者としての印のリングにマントを身につけている霧
この姿を見たのは今も含め二回
始めて見た時は霧の守護者任命の儀の時だった
霧の守護者としてジョットに忠誠を誓う…
もちろん霧は本心からこの儀を受けたわけではない



「………」

「…さあ行きましょう」



ジョットの考えを感じ取った霧は
少し顔をしずめ心の中でそっと呟いた









貴方は知らない



僕の本心を…













あれから2時間
やっと森から抜け出せたジョットと霧

どんだけ森の奥深くに基地を作ったんだよ!
って話ですね
本来あの秘密基地は夏のバカンス用で作られたのだが
明らか計画ミスだ…

バカンス所じゃないぞあれは…



「こっからはどうやっ 「行くぞ」  …………え?」



ジョットは膝を曲げ少し屈み込み
腕を後ろに回しおんぶをする体制のまま
霧のほうを見つめている



「……」



ジョットの目が乗れと訴えている



「……」



霧は耐え兼ねジョットに行動の真意をきく



「おんぶ…などして、どうするつもりなんですか?まさか気遣いなんて事は…」



ジョットを睨みつける
術師とはいえ一応はマフィアの幹部の一人
体力には少し自信がある
それを愚弄するようなジョットの行動に
些かイラつきを感じている



「気遣い?何を言っているのだ?」



不思議そうな顔をしながらそう返答する


それをきいた霧は



「?では何故…」

「飛ぶぞ」



暫くの間沈黙が流れる



「はい!?」



霧がかなり驚いた顔をする
ジョットは何処からかグローブを出し炎を点した



「こっちのほうが速い」

「たたた確かに速いですが…目立ちますし…」



やる気マンマンのジョットを
なんとか止めようと霧は説得し始めている



「大丈夫だ…低飛行する」



やる気マンマンなジョットを止めるのは至難の技だ…



駄目だ…



止められない



とかなんとか思っているうちに
いつの間にか霧はジョットの背中に乗せられていた



「ちょ!ジョッ 「行くぞ!!!」 」



勢いよく炎が噴射された
二人は飛んでいく
物凄い速さだ
そのうえ低飛行のせいで次々と障害物が現れる
それを無駄な動きなく華麗によけるジョットだが…
背中に乗らされている霧はかなり怖かったらしい













‐1時間後‐





ドーン





正面玄関から大きな爆発音がする
その音につられたボンゴレ反乱軍の下っ端達は
正面玄関に集まる…



「敵襲だ敵襲!直ちに配置につけ!」



一斉に攻撃体制に入る爆発の煙で侵入者の姿が見えないが
確かにそこに一人…





ばたっ





突然
攻撃体制に入っていた一人が倒れ出す



「おい!どうした!」



反応がない…

よく見ると何かで切られた後が…





バタッ バタッ





次々と同士が倒れていく
一体何が起きているのか





「クフフ…手応えがありませんね…
それでも元ボンゴレファミリーの端くれですか?」



煙の向こうから声がしてくる
気付いたら回りの奴は皆やられていた
残るのは自分一人のみ



「何奴…」



銃を構える



「おやおや…もう忘れてしまいましたか?」



煙の中から見えたのは
ボンゴレの六つの砦と言われるうちの一人
霧の守護者だった



「お前達では話になりません…
ここを潰されたく無ければ上の奴らを連れて来なさい!
全てお相手して差し上げますよ」








-NEXT-





あとがき






無事怪我もなくボンゴレに着けたみたいですね




2009.3.6