解明







十月十二日 十二時



「何か下が賑やかだな」



ボスの執務室に一人…
窓の外を眺めている男がいた



コツコツ



足音がする
足音は執務室の中に入って行く

音が消えた



「そうは思わないか?ジョット」



空を眺めていた男はくるりと椅子を回し
今… 執務室に入ってきた男を見る

ジェットだ…



男は笑みを零していた



「そうだな…ジェックス」



相変わらずの態度で対応するジョット
それは男を刺激する



「…今頃お前の大切な部下も
やられているだろうな……
何人連れて来たんだ?」



それでもなお必至に男は堪えジェットのペースを崩そうとする



「一人だ…」



顔色一つ変えずにジョットは答えた
これには流石の男もブチ切れる



「ふざけるな!!
ボンゴレを揺るがす戦いに部下は一人だと!?
お前のご自慢の守護者はどうした!!裏切られたのか?」

「守護者の殆どはこの事を知らない」



男はかなり驚いていた



「な…何故…負けるつもりか?」

「まさか…」



ジェットは至って冷静だ…
彼の目的が掴めない
これ以上話ても無駄と判断した男は話をやめた



「そうか…まあいい一人だけとはこっちには都合がいい」



一気に冷静さを取り戻す
さずかのジョットもそれには感心をしめした


二人は無言だ…
外の騒がしさが執務室に響きわたる程静かになる



次の瞬間


二人の姿は消えた
残るのは二人が居た場所に残る大きな焼け跡のみ…
鈍い音がそこら中から聞こえてくる
窓が盛大に割れ外に何かが落ちていく
何かは黒い布に包まれていた
中から黄金色の髪が…



ジョットだ…



ジョットは茂みの中へと消えて行った
男はジョットを追うかのように窓から飛び降りていった



ガサガサ



沢山の枝が折れる音がする
そしてその音の中から葉っぱまみれのジョットが落ちてきた



ドサッ



「痛い…」



ボソッと呟かれたその台詞は
いつもと変わらぬジョットを映し出していた

暫くするとジョットはハッと空を見上げる
空には男の姿が
ジョットに向かって物凄い速さで近づいてくる



「ハハハハぶざまな姿だな!ジョット…」



手に力を入れ始める
男手からまがまがしいパワーを感じた



「!?」

「俺と勝負だぁ!ジョットォォォ!」



二人の距離が0となった時
そこからは物凄い光と爆発が発せられた













カツカツカツ



黒スーツを身にまとう嵐は急ぎ足で任務をこなしていく



昨日

霧からの手紙を読んでから
嵐は寝る間も惜しまず仕事をしていた



「くっそ…霧の奴…」



昨日霧から送られた手紙には幾つかおかしな点があった





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今日もおバカに過ご
しでおいでですか?
ゆったりとした時間を
嬉しい位取れて
僕は羨まし過ぎて思わず
んっと言う字で死ねを
五回書いてしまいました

連日大忙しな僕は最近
猛烈に平仮名を
どうなるの?って位
練習しているんですよ!
はぁぁ
やだなぁ明日も仕事です
クフフ…ではチャオ!

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これが昨日送られてきた霧から手紙の内容
相変わらず無駄にムカつく文章だが
今回はいつもとは違った…



第一に一行目の区切り方だ
無駄に几帳面な霧は
過ごしておいでですかの所を
変な風には区切らないだろう



第二にいくら奴でも俺が任務に行ってる事ぐらい
解っているはずなのにゆっくりとした時間と書いていた

この文章がカモフラージュだと解るには
あまり時間を浪費しなかった



そう解ると俺は直ぐにこの文に隠された本当の文を捜した
ベタに列の始めだけで読んでみると
こんな文章が浮き上がってきた



き   し   ゆ   う  ぼ   ん   

ご   れ   も   ど   れ  は   や   く





何とあのボンゴレが奇襲されているという連絡だった
俺は直ぐにでもジョットの元に走りたかったが
俺は今ジョットから受けた大事な任務中だ
右腕として 任務を途中放棄するわけにもいかない!

そう 思った俺は昨日の夜から
寝る間も惜しまず任務をこなして行った



「この調子なら明日には帰れる!待ってて下さい…ジョット!」




-NEXT-





あとがき






あまりにも不自然な手紙でごめんなさい
こういうのは苦手なんです





2009.3.23