終戦








十月十三日



あれから何時間たったのか
ジョットとジェックスはひたすら空中戦を展開していた
一度は沈んだ日はまた昇ろうとしている







「ふう…こんなもんですかね」



少し離れてボンゴレ本部玄関前



手をパタパタと叩く霧の姿が
下にはにはジェックスの千をも越える部下達の姿が



「はぁ…にしてもジョットも甘いですが、僕も甘いですね」



その言葉の意味は周りを見ればすぐにわかった

霧の周りに倒れている奴らは
誰一人として死んではいなかったのだ
微かだが息をしている

いくらボンゴレ守護者といえど
これだけの人数に一人で手加減しつつも戦うなんて
芸当をして無傷でいられるわけなく
そこら中に幾つもの切り傷があった



「ジョット…僕は役目を終えました…後は貴方次第です」



そう言って霧は静かに闇と共に消えていった









場所は戻してまた空へ



空中戦で激しい戦いを繰り広げていたジョット達は
大分体力も消費をしており
少し気でも抜けば一瞬にしてやられる
お互いに気の抜けない状態が続いていた





朝日が山の隙間から顔を出す
不幸な事にたまたま日がさす方を
向いていたジョットは一瞬動きが鈍る

ジェックスはその隙を決して逃さなかった



「死ね!」



彼の手から無数の炎がジョットに向かって放たれる


避ける間もなくジョットは森の中へ落ちていった
だかジョットは空中で体制を立て直し
下に待ち構えている無数の木々を最小限に避けていく

着地した頃にはジョットが羽織っていた
黒いマントはボロボロになっていた



「トドメダ!」



空中から大きなパワーが感じられた

一昨日ジョットの執務室で感じた
あのまがまがしいパワーと同じものだ


それのパワーに気付いたのか
ジョットは瞬間的に空を見上げた

それは遅く
見上げたそこには巨大な炎が周りの物を巻き込みながら
ジョットのすぐ傍まで接近していた
体の芯まで鳴り響く爆発音と辺り一体が灰となる



「ブハハハハぶざまだな!」



だかその笑いも次第に消えていった

煙りが晴れていく



「……憤怒の炎…」



2`近いクレーターのような
大きなくぼみの真ん中にジョットは立たずんでいた
微かに残ったジェックスの炎を感じていた



「激しい怒りや憎しみが聞こえる」



ジョットは涙を流す



「すまない…お前がこうなるとわかっていたのに…私は」



手にパワーが集められる
そしてジョットは凄い速さで空に

ジェックスが反応できない



「な!」



目の前にジョットの姿が



「また…俺のわがままをきいてくれ」



額に点された炎がいびつに変化する
冷ややかな炎がジェックスをおそう



「くっ…こんな技があるなら…もっと速く」



カキーン



ジェックスは全身を凍らせられた



「零地点突破…」



炎とは対たる存在の氷美しくこの突拍子もない技は
まさに常識に捕われないジョットそのものだった

自分の同胞を封じる為に出来た技
それははかなくもあり希望でもあった

もし今回みたいに死ぬ気の炎がぶつかり合う時がまた来たら…
この技で止められるから



「少しだけ眠っていてくれ…」



その氷は先程ジョットがたっていた
大きなくぼみのど真ん中に落ちていく
空に残ったのはジョットのみ



ジョットの勝利だ…



ジョットはそのままあの秘密基地の方へ飛んで行った




ボンゴレ奇襲事件はこうして幕を閉じた





ジョットの勝利を遠くから感じた霧
ボンゴレ邸がある方角に振り返る



「どうやら…僕の感は外れたようですね」



ホッとした顔をする
明日からはまたいつも通りの日常が
戻ると霧はそう思っていた…


-NEXT-

この小説久しぶりすぎますな
作成日が一年前とかふざけてるわ(笑)









2009.7.17