消失
十月十四日
ハァハァ
駆け足で廊下を移動する男がいた
「ジョット!」
勢いよくジョットの執務室のドアが開かれた
「ハァハァ…」
男はドア付近でたたずむ
「な…これは…」
少し焦げたにおいをだだよわせ
大きく割れた窓ガラスがここで起きた物事を語っていた
「ハァハァ…ジョット…ジョットは何処に?」
辺りを見回す
男の背後から気配がする
「ジョット!」
期待と安心を胸に振り返る
するとそこには
「残念でしたね…嵐」
霧の姿が…
嵐と呼ばれる男はガッカリし
そしてまた辺りを捜し始める
「彼はいませんよ」
見かねた霧がそう言葉を落とした
嵐は目を見開く
霧が言った事が信じられないようだ
ゆっくりと霧の方へ視線を動かす
「なんですか…その目は…これが証拠ですよ」
嵐の心境を悟ったのか
霧は先程の言動を証明する為に
何やらポケットから紙を取り出した
「?」
紙は四つ折になっており霧が丁寧に紙を開く
すると紙のある一部に炎が点された
霧は火を点すような物は何も持ってはいない
だがそんな紙をみても一項に焦る様子を霧は見せなかった
よく見ると炎はある一部のみに点されていて
そこ以外に燃え広がる傾向が一項に見えない
そんな炎をみて嵐が呟く
「ジョットの………死ぬ気の炎………」
それを聞いた霧は少し感心する
「ほう…解るとは流石ジョットの右腕なだけありますね……
これはジョットが去り際に貴方へと渡された手紙です」
ジョットの炎が点されている手紙
間違いなくこの手紙はジョットからの物だ
ジョットからのメッセージそれを確かめる為
嵐がふらふらと手紙に向かって歩きだす
何日も徹夜で膨大な仕事を終わらせ
急いで帰ってきたのだ体はとうに限界を越えているはずだ
それでもなお未だに体が動くのはジョットへの忠誠心からである
手紙を霧から貰い読み出す
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嵐…久しぶりだな
お前に手紙を送るのは初めてかもしれないな…
いやぁ手紙と言う物は面白いな
これを使うだけ…
(以外略)
所で今回嵐に手紙を書いたのは
お前に大切な事を伝える為だ
俺はボスの座をおりる…って事で後はよろしくな
後継者はここから少し離れた所で凍りづけになってるから
次期ボスを出迎える準備が出来次第
解凍してやってくれ
じゃあなバイビー
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「な…」
この後処理の事をつづってある手紙
どうやら本当にジョットは帰ってくるつもりはないようだ…
「ジョット…どうして辞めるなど……」
嵐はペタンと座り込む
霧はそれをただ浸すら眺める事しか出来なかった
-NEXT-
2009.7.17