忠誠







「ジョット…何故私を置いて行ったのですか?」



ジョットの忠実なる犬…

イヤイヤ

右腕がさっきからワンワン吠えていて五月蝿い
少し目障りに思った霧は嵐に言う



「ジョットは今後のボンゴレの為に去って行ったのですよ」

「ジョットはボンゴレをお潰しになさるおつもりなのか!?」



鋭い!!
流石は犬…いや
右腕何故と問い掛けるかのような
眼差しで睨みつけた



「さぁ?」



うっすら笑う霧のその笑みに少し不気味に感じる



「それがジョットの意志だと言うなら私…
いや俺はその意に従います」



彼からはとてつもない程の忠誠と覚悟が感じられた
霧では持ちえない強く純粋なその思いに
霧は羨ましく感じただろう



「幸せになってくれ」

「は?」



霧がボソッと呟く言葉に嵐は気の抜けた声で返答する



「ジョットが貴方に対して願った思いですよ」



本当はこんな事言いたくはなかった
でもジョットに忠誠を捧げる嵐の姿に少しばかり
心が動かされたのかも知れない



「あ…あと…次期ボスは特殊な氷に氷付けになってるから
解凍する際にはバロス…と唱えて下さいとも言われました」



まぁこれは言わなくてもいい伝言ですけどね

貴方は何事も無かったかの様に去って行っただけど
貴方が去った事で
僕達は貴方の大きな存在に再度確認する事となった



そんな貴方でさえ敵わない事を成し遂げる
そんな未来の貴方とは一体どんな人物なのでしょう



僕には沢山の時間がある気が遠くなる程の
終わりのない時間が…

だから僕は見届けましょう
未来の貴方の行く末を…




これが貴方へ現せる唯一の忠誠心だから

















ジョット…
僕が最も憧れ敬い愛したただ一人のヒト
貴方が最後に願った願い
残念ながら僕には叶える事は出来ません


でも貴方が強く願うのなら
運命はまた貴方をそこへ導くでしょう


例え違う運命が切り開けていたとしても
貴方は立ち止まらず前に進んで行く


そんな貴方に僕は果てしなくひかれた





もし次の人生で僕が必要ならば
僕は何時でも力を貸しましょう



僕は待っています
またいつの日か貴方が僕を必要としてくれる事を







何時までも






-NEXT-











2009.7.19