貴方の心は





此処はイタリアのヴァリアー本部



皆が忙しく仕事をしている中お
やつの時間を迎えようとしている二人がいた



「あの〜聞いていいですか?」

紅茶をいれる音がする

「なぁ〜に?」

「マーモンって言う人……どういう人何ですか?」

黒い大きなカエルの帽子とサングラスが光る

「あら……気になるの?」



今紅茶を容れているおかM………サングラスが
トレードマークなヴァリアーのおかん
ルッスーリアは新しく入ってきたばかりのフランと
午後のティータイムをしながら話をしていた



「あんだけマーモンマーモンって言われれば気にもなりますよ」



表情が変わる様子はないがルッスーリの秘得意技の乙女の勘が鋭く作動した



「フランちゃんヤキモチ妬いてるの?」



ルッス姉さんかなり嬉しそうだ
テーブルに肘を付き興味深そうに話を聞く



「違います」

「あら…残念」



だが姉さんのニヤニヤは止まらない



「居なくなってもなお、
その存在が大きく残っている人物がただ気になっただけです」



外が騒がしい
静かなここだけまるで違う世界のようだ

ずっとフランを見つめてたルッス姉さんは
もうしょうがないわね!と言わんばかりの顔をして喋りだした



「そうね…マーモンは一言で言えば…
世の中は金っていう考えの持ち主かしら」



予想外な性格で驚くフランだが
あまり顔に変化がなかった



「強欲で頭がキレるものだから
機会があれば少しでもお金を搾り取ろうとしてたわね」

「最悪な性格じゃないですか…」



何故そんな奴に先輩が



一瞬フランの顔が歪む

「でもね…やると決めた事は
最後までやり通す心の強い子だったわ」

「そういう人が先輩の好みって事ですか」

心の中が酷く痛む

「あら…違うわよ」

「へ?」



YESの答えがくるのだとばかりに思っていたので
予想外の答えに気の抜けた声を出してしまった



「ベルは一緒に居てくれる人が好きなのよ」



何とも簡単な条件で嘘ではないかと疑う



「ベルったら我が儘プーの殺戮大好きなんていう
最悪な性格の持ち主でしょ?」

フランの前でツラツラ語りだす

「一般人や部下は怖くて近寄れないし
私たち幹部も我が儘に振り回されるのはゴメン
っていう理由であまりベルに近づかないのよ」

「でもマーモンって言う人は近くにいたと」

「ええ」



この話から浮かび上がるのは
ベルがいかに一人が寂しかったか
と言う事だけだった

初めて近くに居てくれた人に
彼はきっと表しきれない程の
喜びと感謝をしていたのだろう



「だから居なくなってしまった今も引きずってるのよ」



いつか
いつか私も彼の大事な人になれたら
このように思ってくれるのだろうか



「でも…」



姉さんは何かを言おうとした



「なんですか?」

「ううん!何でもないの!気にしないで!!」



何かを隠している気がするが会えて私は何も聞かなかった
だって彼を振り向かす希望がやっと出てきたのだ
余計な情報でやる気を削ぎたくないのだ
だから私は何も聞かない



「もう行きますね…お話ありがとうございました」



フランは席を立ち上がり
一礼してドアに向かって歩きだす

姉さんはその姿をただ見つめていた







「フランちゃん…
ベルはもう…貴方に惹かれ初めてるのよ」





小さく呟いたその言葉はフランには届かなかった



−END-







フラ→ベルマモとか好きすぎる
因みにフランの師匠はマーモンだけど
フランの前ではバイパーって
名乗ってたので気づいてません



2009.8.28